© fugo since 2018.9.1 ロミオとジュリエット 22★ | 大人のためのBL物語

ロミオとジュリエット 22★


                   登場人物プロフィールはこちら

                   主人公東郷の邸宅




私はカフェで結の両親と別れ、結のアパルトマンを訪ねた。

「東郷監督!」
出て来たのは楠本氏だ。

「結のご両親の了解を得て参りました。代わっていただけますか。明日まで私が結を見ています。」

”明日まで”と言った時、楠本氏のこめかみが一瞬ひきつったように見えた。
「道ノ瀬の主治医は、安静にして”刺激しない”ように言っています。東郷監督、あなたに守れますか?」と楠本氏は私を険しい声でいぶかしんだ。

この楠本氏の前で、結は精神に異常をきたしたのだ。私のせいで…。楠本氏にも心から申し訳ないと思う。

「大丈夫です。約束します。」と私が答えると、楠本氏は更に厳しい言葉を投げかけた。

「念のため、道ノ瀬の両親に連絡を取らせていただきます。」

楠本氏はその場で、スマホで結の両親に電話をした。

「そうですか、わかりました。」楠本氏は結の両親から何か言い含められたようだ。
そして、電話を切って私に言った。

「別の女性と子までなしたあなたが、何しに来たんだか!」

楠本氏の言葉にもちろん反論はあったが、私はぐっと飲み込んだ。
結が、壁隔てて向こうにいるのだ。楠本氏といさかいになりたくない。
楠本氏が玄関から出て行ったのち、私は室内に入った。

リビングに、結はいない。
テーブルの上に、処方箋と薬が置いてあった。
サッカーでもドーピングは重要な問題なので、私は薬物知識が多少なりともある。
結の処方箋をみると、抗不安薬が処方されていた。

窓辺近くの床に、ブラオミュンヘンのタオルやバッグ、帽子が打ち捨てるように散乱している。
ひとつ、ひとつ拾って、ソファに置いた。
ブラオミュンヘンのロゴの入ったマグカップが、カーテンの陰に落ちて割れている。
かけらを拾い集めると、指先に突き刺さった。
血が、ふくれていく。
鋭い痛みは、今の結の痛みのように感じられた。

寝室をノックし開けると、結がベッドの真ん中あたりに何をするというわけでもなく座っていた。

「結…。」私は、優しく声をかけた。

「…。」結は振り向かない。
うつろに、宙を見ている。

「私だ、結。」

「…。」結は、返事をしなかった。

「結?」

「…何しに、来たのですか?」結の声は、凍てついたように冷たかった。

「君の、ご両親にお会いして来た。」

「…。」

「結、私は君を失うくらいなら、監督を辞めるよ。」

結が、少し振り向く。白い横顔が見える。

「ブラオミュンヘン会長に…、令嬢との結婚を打診されたのは事実だ。」
そう言った途端、結が歯をギリギリとさせ、シーツを引きちぎらんばかりに掴みしめた。
薬が効いているとご両親は言ったが、心理的な発作のようなものを、今、見せている。
令嬢との結婚話は、医師が禁止した、”刺激”に当たるものなのだ。

「結、私は令嬢との結婚をOKしていないよ。」
そう言うと、ギリギリとした嫉妬のような結の感情が少し和らいでいく。

「その女性とは、ずっと以前、サッカークラブのパーティで会ったきりだ。
それ以上の関係は何もない。」

「うそ!お子さんまで作ったのに!」

「どこで、誰が、そんな噂を流しているか知らないが、私は令嬢とそんな関係ではない。
誓って言う。」

「…。」

「誓うよ。」

「…。」

「誓う。」私は、静かにもう一度くりかえした。

「…。…本当に?」

「本当だ。」

「でも、…」

「何?」

「東郷さんは…、パパに…、なりたいって思ったんじゃないの?」

「何で、そう思うんだ?」

「…。」

「結、それ、誰かに言われたのか?」

「東京の…、週刊Bez誌の諸橋記者から電話が来た…。Bez誌に、東郷さんと僕の破局報道を載せますって。東郷監督は42歳で“念願かなって”、パパになるからって…。」

ネタ元はBez誌の諸橋か!あの野郎、おぼえていやがれっ。

「結、私にはブラオミュンヘンの選手たちがいる。選手たちが私の子供なのだ。Aチーム(1軍)だけで40人もいるんだぞ。手のかかるヤツばかりだ。」

「東郷さん…。」

「それでも万が一、養子を迎えたくなったら、結、君との間の子供にするよ。」

「え…、僕も親になるの?」

「そうだ。」

「何か…、想像できない。」
結は頭を抱えるようにして、困惑したように言った。

「結、君との間でしか、考えられない。」

「東郷さんのプロポーズ…、うそじゃなかったんだ。」

「何で、うそだと思うんだ?」

「だって、ブラオミュンヘン会長令嬢と婚約したって聞いたから!じゃあ僕に言ったプロポーズはなんだったのって…。お子さんが出来て、その令嬢の方が良くなったんだって思っていたんだ。」

「心外だな。私が二股かけるような男だと思っていたのか? 君と付き合うと決める時、ずいぶん悩んだんだぞ。
 君にアプローチされた時、君は、若いから、いつか私の元を去って行くのだろうと覚悟していた。
 それでも私は、結、君を許すつもりでいたよ。」

「そんなことしません!東郷さんは、僕の最初で、…最後の男(ひと)です。」

「結…。」

私は、結の両肩を両手で触れ、ゆっくりとこちらを向かせた。

「両親が戻って来る前に、キスだけして…。」

「ご両親は、今日ホテル泊まりだそうだ。」

「そう、なの?」

私は、結を抱きしめた。
迷うように抵抗する結を、強く抱きしめる。このぬくもりをどんなに欲したことか。
このしなやかに柔らかい身体を…。
結が、私が贈った腕時計をしている。
結の手首には大きすぎるそれは、シャツとトレーナーの上からはめられている。
その腕をさするように撫でてやる。
結が、その腕を、私の首に恐る恐る伸ばして来た。
結の唇に、そっとキスする。

「僕、バレエ公演、休んでしまった…。」

「今は、ゆっくり休むんだ。そばにいるから。」

「東郷さん…。」

結を抱きしめて、ベッドに静かに寝かせた。
髪を何度も撫で、布団をかけてやる。

「その…、ベッド作る?」結が聞いた。
私たちが愛し合う、ソファベッド組み立てるかとの意味だ。

結の両親は私たちが二人きりになれるよう、気を使ってくれたが、今の結を抱くのは控えた。
医師が、”刺激するな”と言ったこともある。
今、結を抱いたら、結はまた感情を乱しそうだ。

結の白い指先が、私の手にかすかに触れて来た。



結の手を取り、手のひらに口づけする。それを、結の黒い瞳がじっと見ていた。

「東郷さん…、」

「ん?」

「…抱いて、ほしい。」

「え?」
結から、求められたのは初めてだ。

「楠本さんがダメだって言ったよ。刺激するなって、医師も言っている。」

「お願いだから…、薬を飲むより…、東郷さん、あなたが欲しい。」

「結…。」

私は、少し考え、やがて腹を決めた。
結のそばで静かに上着を脱ぎ、ネクタイを解いた。ワイシャツの胸のボタン、袖のボタンを外して行った。
結の黒い瞳が、じっと見ている。

私は、上着とシャツを脱いで、ベッドに横たわる結に上半身だけ重なった。
動かない結の手を取って、私の身体に回すように導く。
いつものような、しなやかに締め上げるような力は皆無だった。
結の顔を両手で柔らかく包みこむ。
前髪をかき上げて、私は結の額にキスをした。
まぶた、頬、唇に優しくキスをした。
結の背に、腰に腕をまわし、くるむように抱きしめる。

ベッドは結がいつも寝ているシングルベッドだ。
ここで二人は寝られない。
私は、結を優しく抱き起した。そして床に膝を付き、結の両足を自分の腰にまたがせた。
結は、ルームウェアのような柔らかい生地のパンツを履いている。
結の広げた足の間に、私が入り込んだ形だ。

結が、そのスタイルに、身じろいだ。
元気な時なら、勢いよく逃げて行くのだろう。
結の唇に唇を合わせ、舌を差し込む。
舌を柔らかく絡ませ、結の腰をさらに引き寄せ、私のそれと結の股間が洋服越しに擦りあわさった。

「あっ…あっ…」

結が目を閉じ、小さく声を上げた。

結の服の中へ背中から手を入れる。アンダーシャツの下の陶器のような肌を撫でる。
結の両腕に私の首を抱かせ、結の胸を手のひらに包んだ。
結の唇にまた唇を合わせ、舌を吸ってやる。
胸を手のひらで丸く愛撫しシャツをまくり上げ、乳首を吸うと、柔軟な結の身体が鮮やかに反った。下半身は衣服越しにその熱を伝えた。
力なくされるがままだった結が、足で私の腰を抱いて来た。

「そうだ、いいよ、結…。」

私は、いったん結を離し、結をベッドに座らせた。
結の下半身のルームウエアを脱がせる。

白い足がむき出しになり、結が体をよじる。
アンダーショーツの上から、結の前とそして後ろへと指でなぞる。

「うっ…。」

結の下着を脱がすと、再び結をベッドに寝かせる。
結の尻をベッドの横の縁に位置を合わせ、両足を開かせた。

「いやだ、こんな…。」

広げた、それぞれ足の指でベッドの縁を掴んでいる。

結のそこに、キスをして、前も後ろも舐めてやると、結は声を上げた。
「あっ…アッ…ヤッ…んっ!」シーツをきつく掴む。

続く唇と舌の愛撫で、結が全身を硬直させ、背中を反らせる。
胸のシャツをまくり上げると、綺麗な色の乳首の先まで快感で刺激され、固く立って見えた。
舌で舐める濡れた音が響き、結の息遣いが激しくなって来た。
結の入口がギュッと力が入り、私の舌を強く挟み込む。

「ああっ!!」結の顔が朱をはいたように赤くなった。

私が、スラックスを緩め、それを取り出すと、結の開いた股の蕾に押し当てた。

「痛かったら、言うんだよ。」

結は初体験の頃に比べたらだいぶ慣れて来たが、今日の結は本来SEX可能な体調ではない。
結が拒否したら、すぐにでもやめるつもりだ。
腰の位置を合わせ、ほぐれた結の入口に先を潜り込ませた。
温かく、締め付けられる圧力の中に、ぐぐっと挿入する。

「んっんんん…!!!」

結が、ぐっと我慢しているような気がする。中に入れた時の表情でそう感じた。
痛みがあるのに、私を受け入れたい一心で我慢しているのかもしれない。

「無理ならやめるよ。君を無理させたくない。」

「僕だけを選んでくれるなら、やめないで。痛くてもいい、お願い…。」

「結…。」

私は、ゆっくりと結の中の形に合わせて、挿入した。

結の上半身だけベッドに寝かせたまま、結の足を私の腰に絡みつかせた。
少し押し込む。

「んんっ!あっ、あっ…あっ…。」

結の腰を抱きながら、ゆっくり腰を動かす。
自分と結の中が擦り合い、混ざり合いひとつになって行く。

「あっあっっ、あっ、あっ、ひっっ!!!」

結の蕾が開いて私を受け入れ、濡れた音が部屋に響く。
動きをだんだん早くし、突いて、結の中に振動を送り込む。
「ああっ、もうだめ!・・・」

結が叫んだ。
身体を引き、先端を残して引き抜き、もう一度突きこみ、腰を何度も突き上げた。

「うあああっ!!」 ズンっと突きこむと、私を包み込む結のそこが、ぎゅっときつく締まる。

「あっあっあっ…あ!んっ!」結が行って、がくんと首を後ろにそらせた。

「あ、あ、あ、…」 弱っている結をいたわり、ゆっくりとした動きを何度か繰り返して結の中に愛情を注いで行く。

結が、私と体の一部でまだつながったまま、ベッドに深く沈む。
結の唇がかすかに動き、何か言葉を発しようとしている。

「…悟さん、…」私の名前を呼ぶ結を見た。

「ん?」

「僕は…、あなたに逢うために、生まれて…来たんだ…。」

「結…!!。」



結は、メンヘラだったのか…う〜ん書いている管理人もそんな展開に、驚いています。
お読みくださる皆さま、拍手してくださる全員の皆さまに、感謝しております。
東郷と結を、これからもよろしくお願いいたします。


12月13日21:34の拍手様  >早く続きが読みたい…!
わぁ〜そう仰っていただけて大変うれしいです。頑張ります。
ハッピーエンドがお好きなのですか?いただくご感想に創作意欲をかきたてられます。またご遠慮くなくコメントくださいね。
お越しを楽しみにお待ちしております。


12月9日21:23の拍手様 拍手イラスト&コメントをお楽しみくださりありがとうございます〜。お笑いになったのはどれでしょう?東郷と猫3匹が寝ているの絵でしょうか。また東郷の猫を増やしておきました。笑


B L ♂ U N I O N
コメント

12月13日21:23分の拍手様
>早く続きが読みたい…!
わぁ〜そう仰っていただきとてもうれしいです。頑張ります。
ハッピーエンドがお好きなのですか?いただくご感想の創作意欲をかきたてられます。またご遠慮なくコメントくださいね。お越しを楽しみにお待ちしております。

  • 管理人フーゴ
  • 2018/12/14 19:30